マヌーシュ・ジャズ(又はマヌーシュ・スウィング)とは、ギタリストであるジャンゴ・ラインハルトなどを代表とする音楽形式の一種です。
そもそも「マヌーシュ」とはフランス北部やベルギーで生活をしているロマ民族の人を指します。
英語圏では「ジプシー」と呼ばれていますが偏見や差別的な意味を含むため、人間という意味の「ロマ」を使うようになってきました。
ジャンゴ・ラインハルトはロマ民族の伝統的なスタイルでスウィングジャズを演奏することによってマヌーシュ・スウィングを生み出しました。
マヌーシュスウィングではソロをとるギターとそのサイドで伴奏をするギター数人とウッドベース一人が基本構成です。これをホットクラブスタイルと呼ぶこともあります。短いテーマ(曲のメロディ)を演奏した後はアドリブによるソロを順番に行い、最終的にもういちどテーマを演奏し、エンディングです。
日本での代表的なプレイヤーとしては、キヨシ小林氏が長くジャンゴ・ラインハルトの研究をなさっております。他にも、バンジョーのプレイヤーとしても活躍する有田純弘氏、ジャンゴ・ラインハルト研究会会長である伊東 伸威氏が演奏・執筆の面で活動しておられます。氏はオリジナル・セルマーの所有者としても有名です。
「放課後の音楽室」などでなじみの深いゴンチチもジャンゴの影響を受けており、「ゴンチチ・レコメンズ・ジャンゴ」というジャンゴ氏のベストアルバムを手がけたりしています。
海外では、チャボロ・シュミット、ビレリ・ラグレーン、ローゼンバーグ・トリオ、モレノなど数多くの方々が、それぞれのスタイルを追求しています。
また、マヌーシュジャズを題材にした映画もいくつかあります。代表的なものとして、自身フランス人とロマ人のハーフであるトニー・ガトリフ監督の「僕のスウィング」や、ショーン・ペン主演の「ギター弾きの恋」が有名です。